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税金の話題 2014.09.15
 耕作放棄地に対する固定資産税の課税強化
耕作放棄地に対する固定資産税の課税強化
(平成26年9月10日付け「日本経済新聞」より)
農業の活性化を目指す政府は、農業に活用していない「耕作放棄地」(遊休農地)に対する課税を強化する一方、農地を貸し出した農家の固定資産税をゼロに引き下げる方向で検討に入りました。

全国の耕作放棄地は約40万ヘクタールで、滋賀県の面積に相当します。離島の五島市では、耕作放棄地が非常に目立ちます。その多くは、営農者が高齢で後継者がいない場合や、先祖の農地を相続したものの、相続人が都会に居住していたり、島内でも会社勤めであったりする、いわゆる「土地持ち非農家」である場合です。
耕作放棄地の大量発生という状況に危機感をもった政府は、「国民に対する食料の安定供給の確保に資すること」を目的として平成21年に農地法を改正しました。法改正によって、農地の転用制限を強化して農地を確保するとともに、耕作放棄地の利用を促進する方向性を示しました。今回は、法制度面の措置を税制面からも後押しするものです。

政府が検討している対策の目玉は固定資産税の活用です。農地バンクに貸せば固定資産税をゼロにするが、一方、耕作放棄地の固定資産税を2~3倍に引き上げることで、農地バンクへの貸し出し増を促すものです。農地バンクとは、耕作していない農地や飛び地となった農地をまとめて借り上げ、税金を整備したうえで、意欲のある生産者を選んで貸し出す公的機関です。上記の対策のほか、例えば、農地を10年以上貸し出す約束をした農家には、年間最大70万円を協力金として支払うことが検討されています。

土地の固定資産税は、原則として固定資産所在の市町村が評価する額の1.4%が課税されます。農地は農業用に利用目的が限られていることから、宅地に比べて低く評価されています。土地の場合、評価額合計が30万円以下のときは、固定資産税は課税されませんが、今後、固定資産税の負担増も予想されます。

五島市において相続の相談を受ける当職にとって、耕作放棄地の取扱いは厄介な問題です。相続人は「私は引き継ぎたくないけれど、先祖が残した遺産だから、やむを得ず相続する。維持管理や固定資産税の問題があるので、できれば相続を放棄したい」というのが本音です。
今回の政府の施策は、そうした「土地持ち非農家」である相続人にとっては、1つの選択肢です。しかし、これは、大都市近郊の耕作放棄地を想定した施策のように思え、五島市の耕作放棄地解消にどのくらい役立つのかは今後の動向を見守る必要があります。

五島市の場合、①輸送コストのかさむ離島で、意欲ある農業者がどれほどいるのか、②耕作放棄の期間が長く、自然荒廃のまま既に山林・原野化した農地の復元をどうするのか、という根本的な問題にぶつかります。
五島市を始め離島・山間農村に所在する農地が、あまねく国が今回検討する政策の恩恵に浴するができることを願ってやみません。